② 学級開きで「はじめて小鳥がとんだとき」
「はじめて小鳥がとんだとき」の授業方式は,
「展開法」と「層序法」の「折衷法」です。
この授業を通して指導したい詩の技法は「くりかえし」と「たとえ」としました。
「はじめて小鳥がとんだとき」の全文は次のようになります。
はじめて小鳥がとんだとき 原田直友
はじめて小鳥がとんだとき
森は,しいんとしずまった。
木々の小えだが,手をさしのべた。
うれしさとふあんで,小鳥の小さなむねは,
どきんどきん,大きく鳴っていた。
「心配しないで。」と,かあさん鳥が,
やさしくかたをだいてやった。
「さあ,おとび。」と,とうさん鳥が,
ぽんと一つかたをたたいた。
はじめて小鳥がじょうずにとんだとき、
森は,はく手かっさいした。
授業は概ね次のような流れで行いました。
学習活動と教師の発問を示します。
(導入)
「はじめて小鳥がとんだとき」を何というか→「巣立ち」
(展開法)
① 題名・作者名を板書(以下,ゆっくり音読しながら1行ずつ板書する。)
② 2行目〈しいん〉→声喩(オノマトペ)について説明する。
③ 3行目「木々の小えだは,なぜ手をさしのべたのか。」
④ 6行目「かあさん鳥ととうさん鳥どちらが言った言葉か。」
⑤ 8行目「とうさん鳥は何と言うか。」
⑥ 7・9行目「かたをどのようにしたと思うか。」
⑦ 10行目「はじめて小鳥が…の続きはどうなるか。」
⑧ 11行目「森はどうしたと思うか。」
(層序法)
① 全文読み聞かせを行い,3連構成であることを説明する。
② 1行ずつ追い読み・1行交代読み,一斉読みをする。
③ 声喩(オノマトペ)の確認をする。
比喩(モノのたとえ)との違いも確認する。
④ 登場人物を確認する。
「小鳥」「かあさん鳥」「とうさん鳥」「森(の木々)」「語り手」
語り手の言葉→地の文
登場人物の言葉→会話文「 」に書かれていることを説明する。
⑤ 2連の対比を探す
(かあさん鳥―とうさん鳥)
(うれしさ―不安)
(小さな―大きく)
(かたをだく―かたをたたく)
⑥ 1連と3連の対比を考える
(しいんとしずまった―はく手かっさいした)
⑦ 再度全員で全文を音読する。
⑧ 対比の中から共通しているものを考える。
「願い」や「愛」
⑨ 人間の本質・真実を考える
「願い」や「愛」はみな同じ。ただし人によって表現の仕方や様子は違う。
⑩ 教師の語り(巣立ちに向けての願い)
⑪ この詩についての感想を書く。
※ 時間があれば暗唱させる。
この「はじめて小鳥がとんだとき」の主題は,
言うまでもなく子どもの「巣立ち」に対しての周囲の「願い」や「愛」です。
そこで学級通信の題名も,
私の願いをこめて「巣立ち」としました。
これは卒業に向けての伏線でもありました。
卒業式当日には,
本学級の児童に対する卒業へのはなむけとして再度この詩を示し,
私の願いを伝えました。