④ 4月の保護者参観で「かたつむり」
この授業は,2013(平成25)年10月に笠間市立大原小学校4年1組において,
笠間市教育委員会主催「授業づくり研修会」の示範授業として,私が提案したものです。
この「かたつむり」の授業は,
「豊かな言語感覚を養う指導の在り方~詩の創作指導を通して~(4年間の継続研究から)」
の中で実施して以来,何度となく実践を積み重ね改良を加えてきたものです。
「かたつむり」は,8連構成の口語自由詩です。
奇数連と偶数連での語り手が異なっており,
そのかけ合いのおもしろさが児童の興味をひく詩です。
リズムが整っていて音読しやすく,暗唱教材としても適しています。
また,マイナス面をプラスとして捉えるものの見方・考え方について
考えを深める教材として有効です。
「かたつむり」の全文は次のようになります。
かたつむり
リュー・ユイ作
いでさわ まきと・やく
かたつむり
おかしいな
目玉が つのの上にある
おかしくない
おかしくない
目玉が 上ならよく見える
かたつむり
おかしいな
おうちをしょって 歩いてる
おかしくない
おかしくない
てきにあったら もぐりこむ
かたつむり
おかしいな
おなかがそっくり 足になる
おかしくない
おかしくない
足が大きけりゃ あんぜんだ
かたつむり
のろいなあ
動かないのと 同じだ
のろくたって
のろくたって
とまらなけりゃいいんだよ
この授業の目標は「詩の全文を暗唱すること」
「想像力を働かせながら詩を読み,
語り手のものの見方・考え方について感じたことや考えたことを表現すること」
の二点としました。
そして授業仮説は,「展開法を用いて音読すれば,暗唱できるようになるであろう」
「展開法を用いて詩を読めば,ものの見方・考え方を豊かにすることができるであろう」
の二点としました。
読み取らせたい詩の技法は「視点人物の条件」「類比・対比」「反復」としました。
授業は概ね次のような流れで行いました。
① 本時の課題「詩を読み,感じたことや考えたことを発表しよう」を確認する。
② 第1連と第2連を読む。(視点人物の条件を確認)
③ 第3連と第4連を読む。(続きを想像させながら読む)
④ 第5連と第6連を読む。(かけ合いのおもしろさを読む)
⑤ 第7連と第8連を読む。(マイナス面をプラスと捉えるものの見方・考え方を読む)
⑥ 詩を音読・暗唱する。(役割分担をしながら読む。詩を少しずつ消しながら読む)
⑦ 詩を読んでの感想を書き,発表する。(人間の真実と美を捉える)
「展開法」とは,
始めの1行から終わりの1行まで順を追ってそのイメージと意味を追っていく方式です。
すなわち詩を題名から1行ずつ板書していき,
その先を想像させながら読ませていく方式です。
全ての詩に活用できるわけではありませんが,
児童の想像力を養うという点において有効であり,
暗唱させるという点においても効果的な方法だと私は捉えています。