⑤ 他教科等との関連で「かぼちゃのつるが」
「層序法」とは詩全体を相手どって,
表現の表層面から次第に深い象徴的なものにまで到るという方式です。
まず詩の形を見て,
使われている詩の技法に気づかせながら,
詩の描く真と美に迫っていくという方式です。
教室で通常行われている詩の鑑賞指導の形式により近いと言えます。
したがって「様子と気持ちの読み取りで終わりという授業」にならないようにするために,
指導者側の綿密な教材研究が必要です。
この「かぼちゃのつるが」の授業は,
「かたつむり」の授業と同様に,
「豊かな言語感覚を養う指導の在り方~詩の創作指導を通して~(4年間の継続研究から)」の中で,
私が実施したものです。
「かぼちゃのつるが」は,
1連18行構成の口語自由詩です。
詩の形の一例として,
句読点がなく切れ目が最後までないという特徴を児童に紹介できる作品です。
リズムがよく音読しやすいため,
暗唱教材としても適しています。
また,詩の技法「くり返し」や「擬人法」を読み取ることを通して,
語り手の願いや思いをつかみやすい詩です。
理科の学習との関連指導も図ることが可能です。
「かぼちゃのつるが」の全文は次のようになります。
かぼちゃのつるが
原田直友
かぼちゃのつるが
はい上がり
はい上がり
葉をひろげ
葉をひろげ
はい上がり
葉をひろげ
細い先は
竹をしっかりにぎって
屋根の上に
はい上がり
短くなった竹の上に
はい上がり
小さなその先たんは
いっせいに
赤子のような手を開いて
ああ 今
空をつかもうとしている
この授業で読み取らせたい詩の技法は「反復」と「比喩(擬人法)」としました。
そして詩における「題名」の意味も考えさせたいと考えました。
そしてこれらの詩の技法を理解することを通して,
語り手の願いや思いをつかみ,
人間の真実と美を捉えさせたいと考えました。
授業は概ね次のような流れで行いました。
① 本時の課題「詩を読み、感じたことや考えたことを発表しよう」を確認する。
② 詩の全文を音読し形式を捉える。(句読点がなく切れ目がないという形式を知る)
③ 題名の意味を考える。(「が」の有無による違いを考える)
④ 詩の形式から気付いたことを発表する。(「反復」「擬人法」を捉える)
⑤ 詩の技法から語り手の願いや思いをつかむ。(強調している内容を読む)
⑥ 詩を音読・暗唱する。(役割分担をしながら読む。詩を少しずつ消しながら読む)
⑦ 詩を読んでの感想を書き、発表する。(人間の真実と美を捉える)