⑥ 詩を書く授業の入門として「すずめ」

  

この授業は,水戸市立石川小学校6年2組において,

2013(平成25)年1月30日に実施しました。

授業記録から導ける仮説は,次の2点としました。

 

 ・ 詩「すずめ」の構造を理解し,真似をすれば詩を書くことができるであろう。

 ・ 話者の視点を鳥にすれば,想像を働かせて詩を書くことができるであろう。

 

この授業は大きく分けて,二つの活動で構成されています。

前半で詩の構造を理解し,

後半でそれを参考にしながら詩を書く内容になっています。

1時間扱いの飛び込み授業が前提ですので,

前半部の指導をいかに効率よく進め,

後半部の詩の創作へとつなげられるかが課題となります。

展開の構想にあたっては次の2点を特に留意しました。

 

 ・ 詩「すずめ」の構造を理解すること(詩を読む授業)

詩の構造を理解するために教材の視写・音読を行いました。

そして,作者が経験的に知っていて書いている行と,

想像して書いている行を区別する活動を通して,

この詩が経験したことと想像したことで構成されていることに気づけるように配慮しました。

また題名当てクイズを行うことで,児童の興味・関心を高めました。

 

 ・ 想像を広げて詩を書くこと(詩を書く授業)

詩「すずめ」を真似して詩を書くことを伝えました。

その際,取材活動として「鳥の名前を1分間で書けるだけ書く」作業を行い,

その中から自分の書きたい鳥を選ぶようにさせました。

想像力を働かせて書くことができるように「その鳥になりきる」ことを呼びかけました。

なかなか書けない児童には,

冒頭に「わたしは○○です」の1行を入れるよう助言し,

その鳥になりきるための暗示をかけました。

それでも書けない児童には「すずめ」の構造を真似した穴埋め式のワークシートを渡し,

個別に支援しました。

 

「すずめ」の全文は以下のようになります。

 

     すずめ   秋原 秀夫

 

   羽の色も鳴き声も         

   目立ちませんが          

   朝は早起きです

 

   家の近くに住んでいますが

   人にはなれません         

   でも子どもは大好きです      

                  

   小さくて力が弱いので       

   仲間といっしょに行動します

   暴力はきらいです

 

   秋の田んぼではきらわれますが

   害虫を食べることも

   わすれないでください

 

   いつも明るく           

   たくましく生きたいと       

   思っています

 

この授業は,2時間扱いにして,

2段階の指導をするとより一層効果的です。

つまり一度完成した作品を,

次の時間で再度書き直させるということです。

 

当然その間には,

児童の推敲しようとする意欲を高めるための教師の手立てが必要です。

 

今回はその手立てとして,

授業の終末において「ニワトリ」という詩を提示しました。

この詩は私の作であり,

いい詩というわけでもありませんし,

モデルの詩とも違う形式ですが,

視点を変えて想像力を働かせることを重視したものです。

この詩の中の「トリニクめざしてがんばります」の行を音読した際に,

児童が大きく反応しました。

この詩を参考にして,自分の詩を見直し書き直している児童もいました。

完成すればおしまいというのではなく,

言葉やリズム・自分の思い等を大事にして,

自分の作品をより高めようとする態度も育てたいものです。

 

「ニワトリ」の全文は以下のようになります。

 

      ニワトリ   豊田 龍彦

 

   子どもの頃は ヒヨコと呼ばれ

   可愛がられて 育ちました

 

   オヤコーコーをしたいけど

   親のことはわかりません

 

   何だか とっても さみしくなって

   毎日 タマゴを 産んでいますが

   子どもが なかなか 生まれません

 

   昨日 初めて 庭を見ました

   青いお空が 見えました

 

   トリニクめざして

   がんばります

   願いは一つ 親子丼

   子どもといっしょが一番です

 

   何だか ちょっぴり ムナしくなって

   空に向かって

   なきました

 

   コッケイ ケッコウ

   ケッコウ コッケイ

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