⑦ 生活を振り返りながら「くりもただ」

 

日記を素材とした詩の創作指導を進めるにあたって,

「詩の技法を活用して詩を書こう」という授業を行いました。

 

この授業は,

東京書籍の小学校6年国語教科書(上)に掲載されている

4月の詩の創作指導単元「表現を工夫して書こう」を再構成し,

時期を入れ替えて実施したものです。

 

教科書通り4月に実施しなかった理由は,

指導対象の児童が「詩の創作指導の充実に必要な前提」をまだ満たしていない

と考えたからです。

また授業の流し方については,

私が2012(平成24)年に計画・立案した授業「散文を詩化する」が下敷きになっています。

 

この授業を通して,

児童は今まで書いてきた自分の日記を全て読み直し,

お気に入りの文章を詩の形に書き直す作業を行いました。

その過程で児童は自分自身の言葉の中から新たな発見をし,

その発見から新たな感動を覚え,

その感動を他者に伝えたいという願いをもつことができました。

 

授業の大まかな流れは次のようになります。

 

 ① 児童の日記の中からモデルとなる文章を提示する。

 ② その原文を分かち書きにして、元の文章と比較する。

 ③ 前述の詩の技法「くりもただ(※)」を活用して推敲する。

 ④ 元の文章と詩に直したものを比較・検討する。

 ⑤ 自分の日記を読み返し、詩の素材となる文章を探す。

 ⑥ 詩を書く。

 

 ※ 詩の技法「くりもただ」について

 

指導対象児童生徒の実態を考慮し,

詩の技法を大きく五つの項目に分け,

より平易な言葉にして整理したものが,

「くりもただ」です。

  ○ く りかえし → 反復・類比・対比・矛盾

  ○ り ずむ   → 行がえ・語調・韻・文末表現・体言止め・倒置法

  ○ も じ    → 漢字・ひらがな・カタカナ・句点・読点

  ○ た とえ   → 直喩・隠喩・声喩・活喩(擬人法)・視点

  ○ だ いめい  → 詩のゼロ行

 

「くりかえし」では,

まず反復(くり返し)を指導します。

類比・対比・矛盾については児童の実態に応じて説明を加えます。

 

「りずむ」では,

行がえをすることによって語調を整えたり,

文末表現に注意することによって韻を踏んだりすることを指導します。

体言止めと倒置法については,

伝えたいことを強調するために用いる技法であって,

厳密にはリズムを整えるためのものではありませんが,

ここではリズムを変えるものという観点から,

この項目内に分類しました。

 

「もじ」では,

特に漢字とひらがな・カタカナが生み出す効果の重要性について指導します。

さらに句読点の有無によって生まれる効果についても言及します。

 

「たとえ」では,

直喩・隠喩・声喩・活喩(擬人法)・視点人物の条件について指導します。

 

「だいめい」では,

題名の役割と題名のもたらす効果について指導します。

 

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